楽しい生活

少年がひろげて見せたもの(母の日のできごと)


「あっ しまった・・・」と
掃除をしている後ろで息を少し切らした声が聞こえた
後ろを振り向くと小学校高学年くらいの男の子が自転車にまたがり
息を切らして少し困った顔をしていたので
「どうしたの?お花ほしいの?」と聞くと

「あ、はい」と小さく返事をした

店を半分閉めかけていたけどお花はまだまだ残っていたので
「いいよ まだお店入れるよ」と声をかけると

「あ、いいですか。あ、すみません」と何度も頭を下げる少年

「母の日のお花がほしいの?」と聞く私に

「あ、はい」とまた頭をまた下げた

店のなかは半分閉店準備状態のため
どうしたらいいんだろうと
店の扉の前で困った顔をしていたので

「いいよ なかの奥まではいってね」というと
また
「あ、はい」と頭を下げて入ってくれた

「どんなお花がいいの?切花一本なら150円だし」というと

少し困った顔をしていたので

「鉢花?お花の苗みたいなの?」と聞くと

「あ。はい。そういうので」

お金をいくらもってきているのか
いくら予算を考えているのか
こういう時店側としても
ちょっとドキドキしてしまう

安すぎても「え?」って思うかな?と思いつつ

「これなら150円の苗だよ」というと

「あ、そういうの」

「あ。あの・・・でも僕あのお金持ってきてないというか お金が」とたどたどしく小さな声で言う少年に

「いくら持ってるの?」と聞くと

「あ、80円」

「あ!あの!僕取りに帰ってきます!」
そう言って
店を出ていこうとしたので

「お店開けて待ってるから 急がなくてもいいから」と声をかけると

「はい!ありがとうございます」とお店から飛び出していった

しばらくすると「おーい!これ誰の自転車や?」と外から声が聞こえたので見に行くと

その少年の自転車が鍵をつけっぱなして置いてあった
お金がないことに慌てたのか
自分が自転車を乗ってきたことを忘れたのか
とりあえずそのポツンと置かれた自転車見て
彼が慌ててお金を取りに帰ったんだなということが
ひしひしと伝わってきて
胸がぎゅっとなった

十分ほどして両手に何かをつかみ
そして手には手作りの大きながま口の財布を握りしめていた

そばにいた店主が
「これな このお花もお母さんにあげ お店においておいても仕方ないからな」と
少年にカーネーションの花束を渡した
その言葉を聞いて

「え!いいんですか?あ、ありがとうございます」と
何度も店主に頭を下げていた

そしてラッピングが終わり
「はい、じゃぁ150円ね」という私に
少年が両手いっぱいに持っていたものを広げて見せた

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このいっぱいの一円玉を見た瞬間
この子が今まで一生懸命貯めてきたものなんだというのが伝わってきて
思わず黙ってしまった
気持ちはこの150円の苗じゃなく

今日昼間に電話注文をして
やっぱり取りにいけないからというキャンセルの電話をしてきたお客さんの
5000円の花束が放置されていたのを思いだし
それを渡してあげたい気持ちになるくらいだった

でもこの子が選んだこの苗に価値があるわけで
なんてことを
この一瞬でくるくる考えて
動きがストップしてしまった私を見た少年が思わず

「あの、ちゃんと数えてきました ちゃんと150円あります!」と急に声をかけてきたので
ハッと我にかえった

「うん。数えなくても信じてるから大丈夫やで」と笑う私に

「はい。ありがとうございます」とまた頭を下げた

お花をしっかり抱えて
また周りにも頭を下げ
ありがとうございましたと声をかけて帰っていった

今頃どんな顔でお母さんに花を渡しているんだろうな
お母さんと二人笑顔な時間を過ごしているといいな

こんなに素敵な瞬間に立ち会えて
私は幸せものだ
ありがとう
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by tototomamano | 2014-05-11 20:19 | 日常